「海外赴任に興味があるけど、不安もいっぱい…。」
そんな人は多いのではないでしょうか? 家族帯同ならなおさら。自分のことだけでなく家族のケアも必要となり、不安は膨らみます。
子供の教育や配偶者のキャリアといった家族に関することのへの不安が示されています。言葉や日常生活に関する不安もあり、仕事以外にも多くのことに神経を使うことが容易に想像可能。
そして、仕事(労働環境)に関するストレスは下記のとおり。
半数以上の人が仕事にストレスを感じ【左の円グラフ】、その主な原因に人間関係(現地スタッフ・日本人駐在員、日本の元所属先)【右の横棒グラフ】
海外駐在の内々示を受け、家族帯同を前提に準備を始めた時の話です。※現在は現地採用に切り替えシドニーに完全移住してます。
2回目の海外駐在ということもあり(海外生活ということでは3回目)、今回はすこぶる落ち着いています。しかし、2015年に海外駐在員として初めてシンガポールに赴任する際は、不安で不安で、夜しか眠れませんでした。(うん、正常)
この記事では、海外赴任で不安なことについて、実体験に基づき9つピックアップし、解説しています。
本記事を読むメリット
- 漠然とした不安が具体化され、心構えや準備につなげられる。
- 「唯一の対処法」を知ることができる。
お役に立てれば幸いです。
9つの不安
家族帯同を前提とし9つピックアップしていますが、正直あげればきりがない。ご自身や家族の状況によっても不安要素は変わりますし、赴任先の国によっても不安の度合いが変わってきます。
しかし、どれも普遍的で誰しもが不安に感じる要素なので、心構えや実際の準備を進めるうえで参考になると思います。
それでは一つずつ見ていきましょう。
行きたい国が選べない
海外赴任に憧れる場合、ニューヨークやロンドンといった世界のマーケットの中心街で活躍する姿をイメージする人が多いかもしれません。
しかし、海外赴任は会社の命令によって赴任先が決まるので、行きたい国とそのタイミングを選べません。(企業によっては派遣国の希望を出せるところもありますが、それでも本人の望み通りになるとは限りません)
自分が理想とする地域に赴任できる可能性は低いと考えておいた方が無難。希望通りの地域に赴任できる場合は「ラッキー」くらいのスタンス。
また、製造業やメーカーの場合には、工場や仕入先などが東南アジアなどの人件費が低い地域に集中しています。そのため、海外赴任先がそういった発展途上国になることも可能性大。
帰任時期が明確じゃない
企業によっては赴任期間(3年や5年)を設けています。しかし、後任の駐在員が見つからないなどの理由で、なかなか帰任できないこともあります。
また、帰任してから1年も経たないうちに別の国への赴任するなど、海外拠点を転々とするケースも。
私はこれからも海外駐在をベースとしたキャリア形成を希望しているため、なかなか帰国できないケースや海外拠点を転々とするケースは問題ありませんが、日本にいる親の最期を看取れないのでないだろうかという不安が少々。(ちなみに両親はとても元気で「死ぬ気がしない」と言っております)
配偶者や子供に負担がかかる
海外赴任に家族を帯同する場合、配偶者や子供にも負担がかかります。配偶者が仕事をもっている場合、休職または退職しなければならず、キャリアが中断または終了するケースがほとんど。
子供たちも転校や生活環境の変化は負担になります。幼稚園や小学・中学・高校生の場合は、現地での学校をどうするのかというのは重要な課題。赴任先国の教育制度、子供の年齢や学年、性格、日本人学校の有無などによっても結論は変わってきます。
場合によっては、単身赴任で海外駐在ということになるケースもありますが、個人的には家族なのに別々で暮らすというのは原理原則に反しているように思います。(ただし、実際は単身で海外駐在している方も多い)
いずれにせよ海外赴任の可能性があるのであれば、事前に家族でしっかりと話し合うことが重要。
慣れない環境(異文化)へのストレス
言葉や気候、食べ物、文化など日本と異なる海外生活にはストレスが伴います。「まったく問題ない!」と思っていても、溜まったストレスが徐々に表面化することも。
実際、私もシンガポールに赴任し半年たったころに帯状疱疹(たいじょうほうしん)が出ました。現地生活を楽しんでいたにもかかわらずです…。
自分なりのリフレッシュ方法を探し、心身のバランスを保てるようにしましょう。(私はランニングでストレス発散)
駐在中に、現地スタッフとの「仕事に対する考え方の違い」についても苦労します。
私の失敗談としては、ジョブディスクリプションを意識せずにガンガン仕事を振ってしまい、関係が悪化したこと。
今でこそ日本でも「ジョブ型」として浸透しつつありますが、2015年当時はまだ私自身のジョブ型に対する理解度が低く、残念な状況を生んでしまいました。今でも反省しています。
お互いの価値観を尊重し合い、その上で業務を進めることが大切。よく研修などで聞くアドバイスですが、それがリアルガチにやってきます。
私たちの「日本での価値観」は異常で、「グローバルスタンダードは現地スタッフの価値観の方」と考えると、トラブルを軽減できます。
日々の食事
健康維持において食事は重要。いや最重要。
「You are what you eat.」と言われるように、あなたの身体はあなたが口からいれたもので出来上がっているからです。
控えめに言って日本食は最高。味、栄養、コスパ、全てにおいて優れています。日本にいると当たり前すぎて気づきませんが、海外に住むと、日本食及び日本の食材のクオリティーの高さと値段の安さに気づかされます。(シンガポール駐在から帰任後しばらくは、近所のスーパーマーケットやコンビニが天国。いずれ慣れますが…)
海外駐在中、その日本食がなかなか食べられないストレスは大きい。国にもよりますが、日本食を提供するお店がなかったり、あったとしても中国人がオーナーの「なんちゃって日本食」のケースもあります。
日本の調味料が手に入ることは多いため、赴任前に日本料理のスキルを高めておくことをおすすめします。
衣食住という言葉もある通り、食は人間の生活を形成する重要な要素の一つ。健康維持のためにも赴任先国に合った準備をしっかりしておきましょう。
医療
海外駐在が先進国だとそれほど問題はありませんが、発展途上国だとかなり不安。
幸運にも私が以前駐在していたシンガポールは、医療水準も非常に高く、安心して診断や治療を受けられました。また、息子は現地の病院で生まれましたが、病院での出産に至るまでのプロセスに不安を感じたことは一度もありませんでした。(無痛分娩が一般的なシンガポールで出産した妻は、もう日本では産めない、て言ってます)
しかし、東南アジア諸国に駐在していた同僚やその家族は、大きな病気やケガの場合は、わざわざシンガポール又は日本に渡航し治療を受けていました。治療するのに飛行機での移動が必要なのは、かなりストレス。
ちなみに、歯に関しては日本でしっかり治療してから海外へ出ましょう。海外では保険が効かないケースも多く費用が膨れますし、やはり日本の歯科治療のレベルが高いです。
同僚・出張者・取引先とのお付き合いが多い
駐在員は人数も限られ、ストレスのかかる環境で働いているため、必然的に、駐在員同士でゴルフに行ったり、飲みに行ったりすることが多くなります。もし、ゴルフができなかったり、お酒が飲めなかったりすると「付き合いの悪いやつ」として扱われるかもしれませんね。出張者や取引先とも同様に、ゴルフや飲み会にお付き合いするケースが多発。
海外駐在員がゴルフをするメリットは多いです。人脈も広がりますし、出張してきた本社上層部ともゴルフでつながり出世にも良い影響を期待できます。ゴルフは海外駐在員の必須スキルという人もいるくらいです。もう「海外駐在員の仕事の一部」と割り切るべきかもしれません。
ちなみに、私はゴルフは一切やりません。(せんのかーい)
これは脱力系サラリーマンとしての私のポリシーで、これまで何度もゴルフを勧められたましたが、一度としてゴルフクラブを握ったことがありません。ちゃんとゴルフと向き合ったのは「プロゴルファー猿」を見たときくらい。 別にゴルフに恨みがあるわけではありませんし、楽しそうだなとも思います。(おそらくハマってしまうタイプです)
私の場合、問題は “時間”。
今でも「24時間では足りない」と感じているので、練習なども含めゴルフの時間を許容できないのです。もし、ゴルフしないことにより立場が弱くなったり出世できなくなっても全く構いません。強要されるなら会社を辞めます。そのくらい固い意志です。
会社が優先順位No.1の人: ゴルフすべき
会社が優先順位No.1ではない人: ゴルフ回避(私はこっち)
業務負荷が大きい
海外駐在員は、現地で主要なポジションに就くケースが多く、海外拠点をマネジメントすることが求められます。仕事は海外拠点のマネジメントだけでなくて、本社へのレポートや本来その立場の人がやるべきでない細かい仕事まで担わされるケースも多い。本社から見ると「日本語が通じ、頼みやすいから」です。
しかし、そのような状況では重要情報が日本人駐在員のみに集中し、現地スタッフはモチベーションを落としてしまいます。結果、更に駐在員に業務が集中という悪循環に陥ることがあるため、現地スタッフと日本人駐在員の役割を明確にして、十分なコミュニケーションを取り(≒ 信頼関係を築き)、業務負荷のバランスをとる必要があります。
そのためには、やはり英語力は重要。
メンタルを崩す可能性がある
海外駐在では、①本社、②現地スタッフ、③現地顧客との間に挟まれ、精神的に追い込まれるケースが多発します。物理的な距離により、どうしても本社からのケアも甘くなり、過度なストレス状態が放置されるケースもあります。(特に小規模な海外事業所の場合)
赴任後まもない内は、ストレスを発散できる場所も何でも話せる友人もいないため、精神を病んでしまう人もちらほら。
海外駐在は、ストレス過多でメンタル崩して帰国、という可能性もある仕事だと認識すべきです。
唯一の対処法
不安や心配の尽きない海外赴任・海外駐在ですが、私はこれまでの駐在経験から「たった一つの対処法」をみつけました。それは、
「深く考えず、過度に反応しない」こと。
はい、精神論。マインドセット。
結局のところ、日本と違う環境で外国人と働くのですから(あっ、海外では私が外国人か)、文化や生活の違いにいちいち反応してたら身が持ちません。
日本は日本、外国は外国。
人は人、自分は自分。
自然体で受け入れるのです。無理に合わせにいく必要はありません。深く考えず、過度に反応せず、あくまで自然体で。
そして、その環境の違いを少しでも楽しめるようになったら、あなたは立派なグローバル人材。どこの国に赴任しても大丈夫でしょう。
なぜ、そう思うのか? それは、海外生活が将来の仕事や生活を豊かにしてくれることを経験上、知っているからです。
視野が広がり、語学力やコミュニケーション力が向上し、物事を判断するときの基準が変わってきます。家族帯同の海外駐在であれば、家族みんなにその恩恵があります。
なので、多少のことには目をつぶって、精神を安定させ、その日本と異なる生活環境を楽しむのが正解。ただし、その前提として、健康な身体づくりは必須。日々の食事と運動を意識して、環境変化に耐えられるボディとメンタルを作っておきましょう。
テクニカルな対処法としては 語学力。事前に語学力を高めておくことは海外駐在のハードルを下げてくれますので、日頃から精進しましょう。
まとめ
海外赴任・海外駐在での不安について実体験をベースに9つと対処法ご紹介しました。
① 行きたい国が選べない
② 帰任時期が明確にわからない
③ 配偶者や子供に負担がかかる
④ 慣れない環境(異文化)へのストレス
⑤ 日々の食事
⑥ 医療
⑦ 同僚・出張者・取引先とのお付き合いが多い
⑧ 業務負荷が大きい
⑨ メンタルを崩す可能性がある
深く考えず、過度に反応しない。
※ 健康維持と英語力向上は日々心掛ける
海外赴任の可能性があったり、すでに人事発令や内示を受けている場合は、今できることから少しずつ準備を進めることが大切です。家族帯同のケースはなおさら。
英語力や英会話に不安がある方には早めの対策をおすすめします。
(英語が主要言語となる国への赴任の場合)あなたの英語習熟度によって、海外駐在時のパフォーマンスは大きく異なります。特に聞く・しゃべるがある程度自由に操れると、あなたの海外駐在ライフは実り多き時間になり、満足度も上がるはず。
少しでも不安を減らすために、英語に自身のない方は早めに行動しましょう。
今日はここまで。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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